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時代を読む――原田武夫 第10回
感性によるイノベーションを磨け
最近、米国を代表する企業の方と近しくさせていただく機会があった。日本人ならば誰もが社名を知っている超有名企業だ。そして、この世界的な企業はこれまで派手な「倒産」の危機に見舞われてきたことでも知られているのだ。
「秤はかりメーカー」であったこの企業は、第二次世界大戦後にはコンピューター業界に参入。ホストコンピューターの分野で世界トップシェアを誇る企業になった。
 しかし問題はその後だった。ダウンサイジングが進む業界の中で徐々に取り残された同社。ようやくPC生産が軌道に乗ってきたといった辺りで登場した「インターネット」なる代物にどうやって対処してよいのか、最初は全く分からなかったのである。文字通りの「危機」であった。
 そうした危機をこの会社は「男を女にする」かのような激しい跳躍によって乗り切った。「モノづくりの企業」であることを事実上やめ、むしろ「サービス産業」の世界に生きることにしたのである。世界有数のコンサルティング会社を買収し、自ら生産したソフトウェアをクライアント企業に導入してもらっては、そのメンテナンスと次に向けた営業のために「サービス」を提供するというビジネスモデルに切り替えたのだ。
 確かにそれによってこの「危機」は乗り越えることができた。だが、聞くところによると今後2015年までの間に「1株あたりの株主利益(EPS)」を約1.5倍にまで持っていくというのを経営目標としているのだという。これを聞いて「正気ではない」と思った。なぜならば金融マーケットでは、量的緩和(QE)によるインフレの演出(実際には上っ滑りの「資産バブル」)が行われているに過ぎないのであり、もはや化けの皮がはがれ、今度は強烈なデフレ・スパイラルに落ち込むことは目に見えているからだ。それなのにEPSを今後そこまでつり上げていくなどというのは、およそ正気の沙汰ではないのである。
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