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時代を読む――原田武夫 第55回
地方創生はモナコに学べ
今、この原稿は宮崎に向かうフライトの中で書いている。仕事柄、地方の経営者の皆様に対する講演を依頼されることが多い。今回もそうで、半年ぶりに宮崎、そして鹿児島で講演する機会をいただいた。
 宮崎に限らないことだが、我が国の地方におけるテーマといえば、何といっても「地方創生」だ。実にさまざまな取り組みが行われ、一部には素晴らしい成果を達成している地域もある。だが、総じて言うと「ニッポンの地方創生は大成功だ」とまではおよそ言えないのが現実なのだ。なぜだろうか。
 「六次産業化」「ITスタートアップ」「産学連携イノベーション」などなど、そこでの取り組みは多種多様だ。それなのに成功していない原因は、その目的である「マネーをそれぞれの地方経済に圧倒的な勢いで引き込んでくること」にこれらのプロジェクトが徹していない点に求められるべきだというのが私の考えだ。
 地方の政治リーダーたちや「お役所」たちは、確かに美辞麗句を並べ立ててくる。
 「我らがふるさとを取り戻そう」
 「地方に活力を! 仕事場を!!」
 「ニッポンの屋台骨である一次産業を再活性化せよ」
 掛け声は良いのだが、正鵠(せいこく)を射ているとは全く言えないのだ。なぜならば要するに「グローバル・マネーが我が国の地方を素通りしていること」にこそ、地方経済が瀕死(ひんし)の状態になりかけていることの真の原因があるからだ。そうであるならばやるべきことはただ一つ、「グローバル・マネーを呼び込む手段を徹底して講じること」しかない。どうすればよいのだろうか。
 最近、若い友人が東京・丸の内にある私の研究所を訪問してきた。彼は南仏にあるモナコで経営学修士号(MBA)を取ったという変わり種である。しかしだからこそ、我が国ではおよそ見ることのできない「本当の富裕層」の日常に、どっぷりとつかってきたのだという。短い時間だったが、そこで見聞きしたことを彼は私にたくさん教えてくれた。
 「とても不思議だったのは『この人物は一体、何をしてここで暮らしているのだろう』というマダムや紳士がモナコの街角には大勢いるということです。しかも毎日毎晩、街中にあるすし屋のカウンターで日本酒を飲みながらすしをつまんでいたりする。おしゃべりをすると彼・彼女らがとんでもない規模のマネーを持つ大金持ちであることが分かるわけです。そんな彼・彼女らの悩みはただ一つ。やるべきことがないということです。そこでモナコでは舞踏会から始まって怪しげなイベントまで、毎日のように催し物が行われているのです」
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