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優秀賞は青木香保里さんの「境界」
山下――それでは次に行きましょうか。優秀賞の青木さん。いらっしゃいますか。
 千住――この方も多摩美出身です。
 山下――いらっしゃらない……。これは千住さんが推したんじゃなかったっけ?
 千住――僕も推しましたけれども、やっぱりもう一つ僕としては“絵作り"で描いているところが、こういうこと言っては悪いかもしれないんだけど、多摩美の人は“絵作り"でものを作り“がち"なところがあるんですよ。昔からなんですけれども。ちょっとそういう要領の良さが見えちゃう。こういった作品は大賞には推せないですね。
 山下――僕はね、この人の作品はギャラリーなんかで見たことがあって、正直言ってちょっと既視感があったんですね。
 千住――どっかで見たなって感じですね。
 山下――このスタイルで最近は描いてると思うんですよ。まあ若い方だと思うんだけども。でね、正直に言うと、こうやって画像で見るほうがよく見えるんですね。実物に近づいて見るとね、やっぱり粗が目立つ。これは技術的な問題もあると思うんだけども。だからこのスタイルは、まあ面白い発想だけれど、まだ技術の部分の煮詰め方が足りないなという気はしています。
 千住――結局もっと細かいところはもっと細かく、もっと細い線はもっと細く、もっと太いものはもっと太く、もっとその画面を壊すかもしれないぐらいの“混沌"というのがもっとあってもいい。上下がなくて真ん中だけで収めていると、ただキレイな感じになっていっちゃう。
優秀賞 青木香保里 「境界」 2015年 紙本 墨、顔料
線美の要素が結構あるわけだけれども、やっぱり線って日本画の命となるところがあって、本当に惚れ惚れするような線を引いてほしいんですよね。そのためにはものすごい習礼(しゅうらい)が必要なんですね。今、円山応挙のような線が引ける人は一人もいない。これはさっきの「現代の日本画はなぜダメなのか」という話になるけれども、僕はその答えはすごく単純で、物心ついた時から筆を持っていないから、これがダメな最大の理由だと思っている。今は、造語だけど「筆ネイティブ」のような人が絶滅しちゃったわけですよ。ネイティブスピーカーのように日本語をしゃべるには、物心ついた時から筆を持っていないと、円山応挙みたいな線は引けない。厳しいことばかり言うようだけど、発想はとても面白いし、今後を期待したいと思います(山下氏)。
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