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(左)特別賞 佐藤夏実 「from now,from here」 2016年 麻布(カンヴァス) 墨、胡粉、タルク、紅茶の葉、作者の髪の毛 (右)特別賞 鈴木紗綾 「夜中」 2016年 雲肌麻紙 岩絵具
特別賞は各審査員が推した作品に
山下――次は審査員特別賞(写真左)です。佐藤夏実さん、いらっしゃいます? いらっしゃらない。この人の作品は、秋元さんが強く推したんですっけ? どうですか千住さん。
 千住――あの作品としての現代性というのはあると思うんですね。日本画というと、実は何にも考えていない感じの絵が本当多いのですが、こういった作品は一本の毛でそれがほぐれて今の世界地図というものを作っていて。しかし、アイデンティティーとは自分の髪の毛なんだということが、画面の起動力になって描き進めていった、そこが面白いと思います。ただ、もう少しグロテスクならグロテスク、もっと美しくまとめるなら美しくというほうがよかった。
 山下――まあ僕はね、この人は直接知りませんし、作品を見たのも今回が初めて。金沢美大の日本画出身なんですが、まだ学生さんかな。おそらく現代美術志向がすごく強い人なんだと思いました。で、金沢21世紀美術館の館長である秋元さん(その前は直島のベネッセにいらっしゃった)は、もろ“現代美術畑"の人なわけだけど、彼が自分の責任として、これを強く推されたんじゃないかという気がします。千住さんも今、言ったように何か中途半端というか、もっとめちゃくちゃやるんだったらやればいいし、小綺麗にまとまっている感もある。それと、果たしてコンセプトがこの一枚の画面で伝わるのか、ちょっと疑問符がつきました。
 千住――まだ若い人ですから、これから先いろんな展開をしてもらいたいと思います。
 山下――いろいろ試行錯誤していけばいいんじゃないですか。でも、日本画のアワードでこういった作品に賞を授与するのは、「コンサバな日本画のアワードとは違いますよ」という一つのメッセージになったと思います。だいたいね、コンサバな日本画のアワードの審査員とか、僕は絶対呼ばれないもん……。
 千住――山種美術館の日本画アワードの審査員やっているじゃない!
 山下――山種のは別なのよ、古い付き合いがあって。内情を言うと、僕は今年初めてあの審査をしたけれども、ずいぶん意見は対立しましたよ。
 千住――そうでしょうね。
 山下――僕の意見は通らない部分もあった。ただ無理矢理通した部分もあるけれどね。

 千住――次の鈴木さんの「夜中」(写真右)は、僕と山口さんが二人で票を入れて。つまり、僕と山口のような絵描きがすごく推す絵なんですね。それはやっぱり絵を描いてる人間として、ちゃんと通過してきた道だから、推したくなるのだと思います。山下さんは、これは日本画じゃなくていいのではないかと言ってたけど、それはあると。ただし、僕にしてみたら、僕もここから抜け出したので。この若い作家にとって、レベルの質としてはとてもいいと思います。
 山下――僕はね、魅力的な絵だと思いますよ。ちっちゃくてね。小さいゆえの良さがあると思う。だけど、この世界を表現するのに日本画である必要は全然ないと思うね。油絵で描くほうがよっぽどいいんじゃないの? と思ったから、あんまり推さなかった。でも、まあ魅力的な暗い絵だと思います。千住さんも若い時の絵は、暗いもんね。暗い風景とか描いていた。
 千住――すいません。でも暗い絵っていうけど、実はそんなに暗くないんだよね、本人にとっては。これを描いて表現するのは、次にいこうとしてるから、僕はいいと思うんだよね。
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