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食語の心 第9回
作家 柏井壽
Photo Masahiro Goda
 多くが憧れを持って語る京の街。世界文化遺産に代表される、有名社寺や、季節ごとに装いを変える景勝の地。無論それらを目的として、旅人は京都を訪れるのだろうが、もう一つのお目当てが、京都の美味にあることは間違いない。
 その証しとも言えるのが、観光シーズン中、人気割烹や料亭など、日本料理店の予約困難ぶり。主立った店は軒並み予約で満席。その殆どすべてが遠来の旅人で、都人が入り込む余地などまるでなく、近年益々その勢いは増している。
 これらの人気店。へたをすれば、半年以上も前に予約しなければならない。普通に考えれば、半年先にどんなものを食べたいか、など予め想定できるわけがない。それを決め打ちするというのだから、食欲とは無関係の〈食イベント〉なのだろう。
 かねてから言い続けているが、食事というものが、胃袋や食欲と、どんどん懸け離れてきている。
 医食同源という言葉があるように、本来、人はそのときの体調や気分によって、食べたいものが変わってくるはずである。さすれば半年先の体調など分かるわけもなく、まったく理に適わない話だというのは自明の理だ。京都を旅していて、さて今夜は何を食べようかと、想いを巡らすのも旅先ならではの楽しみだと思うのだが。
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