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食語の心 第11回
作家 柏井壽
Photo Masahiro Goda
世界無形文化遺産に登録されて以降、〈和食〉とは何か、という問い掛けが多く聞かれる。
 さまざまな論が飛び交う中、誰もが異を唱えないのは、郷土色豊かな行事食。その代表とも言えるのが、正月料理。おせち料理と雑煮だ。
 おせち料理も、かつてはその地方ならではの、個性豊かな料理が並んだが、今ではほとんど全国共通となった。これには明確な理由がある。それは家庭で作ることが激減したからである。
 いつの頃からか、重箱に詰めるおせち料理は、デパートや料亭で買うのが当たり前のようになった。秋も深まる頃になると予約が始まり、人気店のそれは早々と完売になる。たとえそれが十万円を遥かに超えていようが、である。
 ついこの間まで、どこの家でも、それぞれに正月料理をこしらえたものである。そしてそれは、共に作ることによって、祖母から母、娘へと伝わり、その地ならではの、家庭の正月料理が、正しく伝承されていったのだ。
 時代と共に、核家族化が進み、かつ料理の手間を省く風潮が広まったせいもあって、おせち料理は、家で作るものではなく、お金で買うものになってしまった。
 我が京都では、今も家で作るところが多く残っていて、我が家も例に違わず、祖母から母、家人から娘へと伝わっている。この事の是非を今さら論じても詮無いこと。ひと度途切れてしまうと、元に戻れないことだけは確かなのだが。
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