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松葉蟹と柿のなます
神田裕行 真味只是淡 第四回
Photo Masahiro Goda 文・神田裕行
秋深き隣は何をする人ぞ

 高名な芭蕉の句にもあるように、晩秋は世人にとって、いろいろ物思う季節のようだが、日本料理を生業とする私たちも、献立に苦心する季節だ。なにしろおいしいものが多過ぎる。松茸はいわんや、柿 、栗、銀杏などの山の幸がたわわに実り、鯛、甘鯛、まながつおなどの海の幸は、日増しに脂とうまみを増してくる。もうすぐそこには、松葉蟹の解禁や鮪の北上があり、市場はまさに美味目白押しの様相である。
 日本料理の美学の一つには、季節感の反映がある。裏を返せば、その季節にしかないものでしか、それを体現できないわけで、そういう意味においても、晩秋の食材は季節感の宝庫なのだ。
 では、何故に料理人にとって悩ましいかというと、料理人が自我の強い人種であり、去年と同じ料理はしたくないとか、人と同じ料理は作りたくないとかいうことに、こだわるからだ。無論これは自らを省みてのことだが、これが故に苦しみ、これが故に楽しいというのが料理人の性なのでしようがない。
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