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金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
トランプノミクスでドル高・円安傾向強まる!?
 米国第45代大統領に不動産王ドナルド・トランプ氏が就任する運びとなった。かねて同氏が選挙戦に勝利すれば、世界の株価は軒並み急落し、ドルは徹底的に売りたたかれると見る向きも少なくはなかった。ところが、フタを開けてみれば結果は真逆で、とりあえずは米株市場においてダウ工業株30種平均(NYダウ平均)が史上最高値を更新し、ドルは円やユーロなどに対して大きく買い進まれることとなった。
 執筆時の市場は、大型減税や大規模なインフラ投資などを伴う「トランプノミクス」への期待に沸いており、関係者の間では米国経済の成長が今後加速するとの見方もジワリと広まっている。トランプ氏は、選挙戦の中で「来年1月の就任後早々に大規模な経済改革を実施する」と豪語してきた。改革の目玉の一つは、すでに「トランプ税制」などと呼ばれている企業税制改革であり、これは連邦法人税率を大幅に引き下げる案を柱としている。このたび同時に実施された米議会選では共和党が上下院の過半数を維持し、これで議会との協調による税制改革も進めやすくなった。
 企業税制改革は、企業投資を活発化させると同時に、これまで高税率を嫌気して米大企業が海外に逃避させてきた膨大な資金を米国に還流させる狙いもある。海外資金を米国に戻す際の税率も一段と下げる方針で、そうなればドル買い需要が急激に強まって市場ではドル高が進みやすくなるだろう。 また、トランプ氏は中国やメキシコなどに対して高い輸入関税を課す考えをも明らかにしている。どこまで強硬に進められるかは未知数だし、保護主義的な路線に対する批判の声も多くあるが、一定の関税引き上げ措置を講じるなら、相応のドル高によって米国内が急激なインフレに見舞われる可能性を回避する必要性も生じるであろう。トランプ氏はドル安志向だが、同時に二兎(にと)は追えない。
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