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SISLEY
フィトコスメトロジーの
底力
Photo Takehiro Hiramatsu(digni)
Text Noriko Masumoto(alto)
NileScope-Beaute Vol.7
シスレーは、さまざまな側面を持つブランドだ。このブランドを語るときにまず欠かせないのは、創始者であるウベール・ドルナノが、フランスの伯爵家出身であるということ。先祖はナポレオンの側近であった家系に生まれた彼は、「世の中の役に立つ」ことを信条として育ったという。彼が周囲の人々の「いつまでも美しく」「いつまでもきれいな肌でいる」という願いをかなえるためにシスレーを立ち上げたのが1976年。ポーランドの王室出身である妻のイザベルと共に、約40年間。世界5大陸90カ国以上で展開する、高級化粧品市場をリードするトップブランドだ。
 高機能化粧品がトレンドだった創業当時、彼が目を付けたのは“植物の力"だった。現在では、植物やエッセンシャルオイルを化粧品に使用するのは当然のように思えるが、そうではなかった当時、革新的な考え方でそのパワーをいち早く取り入れ、“フィトコスメトロジー(植物美容学)"を確立した。日本において、植物を取り入れた化粧品というのは「スローコスメ」というイメージを持たれがちだが、実は植物が持つ力は偉大で、限りない可能性を秘めている。それを信じた彼は、遺伝子学、皮膚生理学、時間生物学のエキスパートを集め、開発チームを作った。
 シスレーが他の化粧品会社とは全く異なっているのが、開発する際に、時間とコストにおいて制限を持たない点だ。一般的には、これくらいの時期に発売をしたいから、このくらいのペースで……と大体のスケジュール、そして開発費用が決められているだろう。しかしシスレーの場合は、週に1度、トップが必ず製品の開発状況をチェックすること、第三者機関でのブラインドテスト、使用後の肌状態、使う時に必ず喜びが得られること以外には、製品づくりに関して制限がないというのだ。自信を持てる製品しか世に出さないという信念は、長い時間をかけて研究してきたものですらストップしたという事例もあるくらい、揺るぎないものだ。
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