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村のメーンストリート。グシュタード・パレスホテルが小高い丘にそびえる。素朴なたたずまいの教会に心和む。
Value Helvetia
Photo Masahiro Goda Text Koko Shinoda
スイスの山間の小さな農村グシュタードは、巧みな税制と自然環境を守ることで、世界の富裕層が住居を構えるようになった。牧歌的な景観の村は質の高いライフスタイルの提供と、“家族を大切にする”という富裕層のニーズに応える政策で、単なるアルペンリゾートという枠を超え、魅力ある地となっている。さらにスイスには、彼らのライフスタイルにとって重要な資産管理や医療もそろっている。グシュタードのほか、ジュネーブの歴史あるプライベートバンクや、高額医療に特化したコンシェルジュ付きのプライベートクリニックを訪ね、“スイスの真値”を紹介する。
スイスの西端、フランスと国境を分かつ三日月形のレマン湖。大陸性気候と地中海性気候に恵まれ、冬も比較的温暖な気候のため、冬の避寒リゾートとしても人気がある。年間を通して世界各地から旅行者が訪れる観光地となったが、その始まりは18世紀後半にさかのぼる。
 英国の王侯貴族たちはジュネーブに入り、そこから湖畔の北側を周遊してモントルーに滞在した。スイスで最初にゲストハウスなるものが開業したのも、このモントルーだ。やがて、モントルーからアルプス山麓を北東にアイガーやユングフラウへ山岳旅行をするようになる。
 現在このルートを走る、ゴールデンパスと呼ばれるパノラマ列車で50㎞ほど登った、モンブラン山麓標高1050mにグシュタードの村がある。国際会議で有名なダボスや華やかなイメージのサンモリッツなどと違い、日本ではほとんど知名度がない、人口3200人ほどの一見小さな農村だ。手のひらを広げたように渓谷が集まる地形のため、神がアルプスをつくる際に手を休めたという伝説が残る。その景観と素朴な風情に引かれ、20世紀初めに英国、スペインなどのヨーロッパの王室関係やその取り巻きがここでウインタースポーツを楽しむようになった。1917年には、富豪の子弟が学ぶ名門寄宿学校、ル・ロゼが冬季学校を開校。レマン湖畔にある1880年に創立されたル・ロゼは、世界各地から集まった約400人が学ぶ、世界最高額といわれる中等教育の寄宿学校だが、冬季3カ月間はキャンパスをグシュタードに移す。ル・ロゼと同様に、多くのインターナショナルスクールもその期間、グシュタードに開校する。
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