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魔都への誘い、
麗しの上海航路
Many Thanks to The Peninsula Hotels & MSC Cruises  Text Koko Shinoda
1930年代、上海は日本からパスポートなしでいける海外であった。怪しい魅力に溢れた上海は、魔都とも呼ばれ、多くの文化人がその魔力に囚われた。片道切符の上海航路には、ドラマが待っていた。金子光春は当時、頻繁に上海を訪ねたが、「最初の上海」でこう記している。

…青かった海の色が、朝目をさまして、洪水の濁流のような、黄濁色に変って水平線まで盛り上がっているのを見て、とっさに「遁れる路がない」と思った…

 上海の町の中心を流れる黄浦江の水の色は今も変わらない。長江と呼ばれる揚子江の支流に向けて、ゆるやかに町中を蛇行しながら滔々と流れてゆく。その東側、浦東新区は超高層の街並みが近未来のようなスカイラインを描く。
 西岸には、約1.5kmに渡って19世紀の外国人租界区「外灘」が往年の重厚な佇まいのままに連なる。ルネッサンス、バロック、アールデコなどのファーサードを残し、中は商店やホテル、オフィスなどになっている。
 数年前までは中国人には浦東新区の景観がもてはやされたが、この頃は若い世代が外灘の古い町並みを見直すようになったという。日が落ちると浦東新区は艶やかなライティングが施される一方、外灘は控えめな照明に、ミステリアスな陰影が浮かび上がる。
 古いバーから、息切れのするような物憂いジャズが流れてくる。戸を開けて中に入ると、戻れないような気がしてそのまま暗がりを歩き続けた。
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