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(上)高さ30m、胸高幹周り3.72mのイチイガシ。樹齢350~400年の巨木だ。
(下)関西以西、四国・九州・沖縄の海岸や沿海の山地に自生するイヌビワ。果実はビワに似ているがイチジク属。イチジクに比べると味は劣るものの、黒く熟すと生食でもジャムに加工してもおいしい。
綾の照葉樹林プロジェクト
 綾町に照葉樹林が残っているのは「たまたま」ではない。実際、50年ほど前に営林署から「山を切る」話が持ち上がった。綾北川沿いにあった旧川崎財閥の山林の立木を製紙会社が伐採し尽くしたため、そのハゲ山と綾の自然林の立木と交換することが決まったというのだ。
 当時の綾町は「夜逃げの町」と呼ばれていた。林業が衰退し、耕地面積も少ない綾町は、貧困に窮していたのだ。伐採が始まれば雇用の創出につながるから、目先の利益だけを考えれば悪くはない話だ。しかし時の町長、郷田實氏は「それは自然林の破壊を意味する」と断固反対した。その根拠をしっかり提示しようと、山や自然に関する本を片っ端から読んだ。そして「綾は日本文化のルーツたる照葉樹林を立派に保存してきた。その価値こそが今後の発展に資するものだ」という結論に達した。
 郷田氏は農林大臣に直訴し、山を残すことに成功。同時に経済的自立を目指して、「木工の町づくり」や、住民の自給自足を確立する「一坪菜園運動」、有機農業を推進する「自然生態系農業」、全員参加の町づくりを実現する「自治公民館運動」等を展開した。そうして「子孫に遺のこす町づくり」に深謀遠慮を巡らせ、果敢に挑戦を続けた郷田氏の熱意は後進に受け継がれ、2005年には「綾の照葉樹林プロジェクト」が始動した。河野氏はその中心メンバーである。
(上)綾の森は2012年、ユネスコエコパークに登録された。町が一体となって森林保護と自然林の復元に取り組む世界的に重要な生態系であること、経済的に自立できるシステムにより持続可能な地域社会を形成したことが評価された。
(下)植物多様性が高い照葉樹林では、同じ空間にどれだけの生物が暮らせるかがカギ。森が成熟すれば、こうした木に着生するラン科植物が増えてくる。他にもシダやコケといった植物が着生したり共生したりしている。
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