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「当時、最先端といわれた技術を目の当たりにして、逆に自分は、規模よりも手間暇をかけて、家族や友人に食べさせる牛を育てようと思ったんです。それで帰国後、本当に健康な牛を育てるための餌の研究を始めました。最初はJAの基準に合わせて宮崎牛として出荷しながら、自分が納得のいく餌を探したんです。結果、抗生物質や防腐剤、成長ホルモンを一切入れない、13種の飼料をブレンドした現在の餌にたどり着くまで、20年かかりました」
 完成した餌で育てた自慢の黒毛和牛の肉を、13年前から尾崎牛としてブランド化した。実際に尾崎牛を食べて、感動してくれたレストランのオーナーシェフなど、信頼できるパートナーだけに直販している。
 海外に販売するようになったのは、値段は高くても、尾崎牛の価値を理解してくれる料理人やパートナー、それを選ぶことのできる消費者が、世界に一握りしかいないからだ。現在、海外への販売は全体の3分の1程度で、欧米を中心に15カ国に直販。4月からはスペインはイビサのホテルに、毎月4、5頭の牛肉を送ることが決まっている。取引先は、尾崎さん自身が各国を訪れて見つけている。
「世界中を回って、自分の牛肉が世界で何番の位置にいるのか、シビアに探しています。今はまだ負けたことがないから、どんな有名店に行って話を持ちかけても、勝つことができるのです」
 牧場で30カ月の肥育をする中で、餌は2段階に分けている。最初は、筋肉、内臓、骨をつくるための餌。最後の1年間は、脂肪をつけるための餌だ。そして、牛にストレスをかけない、規則正しい生活をさせ、よく寝かせること、毎日午前中に牛舎内の清掃をすることなど、おいしい牛肉をつくるための独自のポイントを守っている。この中で、実は非常に重要なのが、「自分で育てた牛肉を食べる」ということだ。
「自分の家族や友人に食べさせる牛肉をつくりたいという当初の思いは、今も変わっていません。だから、尾崎牛の一番出来のいいものは、自分の家で食べるんです。私は毎日、自分でつくった牛肉を食べて、家族の反応も見ています。だからこそ、仔牛を見ただけで、その牛が将来、どんな成牛になり、どんな味になるか見極めることができるのです」
 以前は繁殖も手がけていたが、肉の質を安定させるために、今は競りで仔牛を買っている。血統が良くても兄弟で出来が違うということが頻繁にあるからだ。競りでは、自身の目で見て、確かな仔牛だけを、値段が高くても購入する。そうすることで、いつ食べても同じ味、質の牛肉をつくることができる。
 尾崎さんにとってのブランドとは、個人の信頼そのものだ。
宮崎らしい、ヤシの木のある牧場の牛舎で、牛たちが穏やかな表情をしている。鳴くこともほとんどないのは、ストレスがかかっていない証拠だという。肉質が柔らかくなるメス牛を丁寧に30カ月育てている。
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