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とはいえ、円高の進行にもおのずと限界はある。多くの市場関係者は「115円よりも円高が進むようであれば、日本の政府・当局は何らかの政策対応に踏み切らざるを得ない」と述べる。考えてみれば、日銀によるマイナス金利の導入は、これまで黒田総裁が訴え続けてきた「戦力の逐次投入はしない」という方針を転換するものであり、場合によってはマイナス金利の水準を逐次引き下げる可能性も考えられる。いずれにしても、マイナス金利政策というのは「漢方薬のようなもの」であることを再認識しておきたい。
 そもそも、執筆時点で日経平均株価が1万5000円台まで下落してきたという事実はあまりにも異常である。代表例としてトヨタ自動車の株価を考えてみたい。同社の株価は昨年3月に8783円まで上昇する場面もあったが、執筆時には6000円割れ目前の水準にまで下落してきている。仮に6000円割れとなると、同社株の株価純資産倍率(PBR)は1倍を割り込むこととなり、それは「解散価値以下」の水準であるということを意味する。“天下のトヨタ"の株価が解散価値以下というのであるから、これはやはり異常としか言いようがないだろう。聞 けば、2月9日時点でPBRが1倍を割り込んだ銘柄の比率は、東証1部で5割を超えたとのこと。株価の下落にもおのずと限界というものはあろう。
「 弱気相場に好材料なし」とはよく言ったもので、執筆時の市場はいかなる材料にもネガティブに反応する傾向を強めている。
 とはいえ、折からの原油安や中国リスクへの懸念の広がりというものも、いずれは何らかの解決に向けた糸口が探られることとなろう。いくらなんでも一年中、波乱続きの相場展開というのも考えにくく、あくまで冷静かつ慎重な姿勢で臨むことも忘れずに、どこかで適当な押し目買いのチャンスをうかがいたいものである。
(左)THIS MONTH RECOMMEND
もはや「ゼロ成長の時代」と認識すべき!?
かねてより「近代資本主義の終焉(しゅうえん)」を叫ぶ“水野節”は健在。榊原氏も「すでに先進国はデフレの時代、ディスインフレーションの時代に入ってしまっている」と説く。リフレ派の経済学者から見ればワースト1位と2位に挙げられる両氏は、日本の中産階級の没落に警鐘を鳴らしながらも、ゼロ成長の時代にどうやってアダプト(適応)するかが重要と説く。果たして、精神的な豊かさを追求する“豊かなゼロ成長の時代”の在り方とは……。
『資本主義の終焉、その先の世界』榊原英資・水野和夫著/詩想社新書/994円
(右)田嶋智太郎(たじま・ともたろう)
金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 tomotaro-t.jimdo.com
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