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栗野氏が雑誌に連載するコラムでも紹介した『犬から見た世界』。自身も犬を飼って4年目で、さらに犬の世界を知りたいと書店で見て購入した。『現代社会の神話』と『Symbolic Images』は、学生時代仲間と討論しながら“深掘り”し、構造哲学などを一生懸命学んだ本。「Sachal Jazz」は最近買ったCD。「パキスタンの楽団がインド音楽の技法でボサノバをやっているんですよ。ボサノバの名曲の『デサフィナード』とか『イパネマの娘』とかが、見事にインド音楽になっています」(栗野氏)。

ほぼ世田谷育ち
 そんな栗野氏はニューヨーク生まれ。「1歳半までしかいなかった」そうだが、4歳から2年間をウィーンで過ごしているし、幼少期の海外体験が欧米文化への関心を呼び起こしたのではないかと推察する。しかし、「それもあるかもしれないけれど、やっぱり音楽です」と栗野氏は言い切る。
 「親のおかげで美術館とかオペラ、オペレッタなどのネタは仕込んでもらいました。後になって、いいものを見せてもらったと感謝しましたけど、好きではなかったですよ。日本に帰ってからは、帰国子女だからいじめられました。戦後8年、子どもたちのマインドはまだ戦争で、外国に対する敵意の方が強い。中には『オーストリアってカウボーイがいるのか?』なんて尋ねてくる子もいましたが。誤解と差別ですよね」
 帰国後、今日まで約50年、栗野氏は世田谷で暮らしている。昔は世田谷も田舎で、「家のそばには牧場もあったし、アオダイショウも出たし、ザリガニ取りもやった。ただ遊ぶだけの少年時代を過ごした」という。

ややこしいことの先に服があった
 「音楽が好きになって、髪を伸ばしたら、先生とかとあつれきが生じて、そこから自我が芽生えたのかもしれませんね。ただ髪を伸ばしたくて伸ばしただけなのに、コンサバティブサイドの大人はそうは思わない。不良だとか、親はどんな育て方をしたのか、学校を何だと思ってると、過剰に意味を持たせるから、こっちもちゃんと意味を持とうかなと思ってややこしくなるんですよ」
 そのややこしさの延長と言うべきか、栗野氏は大学では「ややこしいことがいっぱい出てくる」勉強にどっぷり漬かった。アートが好きで美学を専攻し、美術作品の意味を世界観にまで掘り下げて解釈するイコノロジーや、それを発展させたイコノグラフィーなどを原書で学んだ。そういうややこしい勉強がきっかけで「服には多様な意味・作用がある」と知り、「結果的に洋服屋になった」と笑う。
 「だから今でも、服を選んだり、着たりすることはアイデンティティーとすごく関係があると思ってるし、人がより良くアイデンティティーと接することができるようにこの仕事をしているんだと思っています」
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