できつつある。それが世界から見ると面白いんですよ。だから、例えば世界で最も評価されているコム デ ギャルソンは40年間、セクシーだったことは一度もない。そこが向こうに受けて、日本でも当たり前に受けたんですね。あと109って、裸みたいなかっこうだけど、全く色っぽくないですよね? 1億総コスプレ。日本人にとっては裸もコスプレなんです」
ならば、世界はノンセックスに向かうのか。「その通り」とうなずく栗野氏はさらに自論を展開する。
「先日もフィレンツェのある学校で、この話をしたらすごく盛り上がりました。西洋では着るものが階級を表すし、性的誘惑と衣服は不可分です。だから、そこから逃げ出したい、脱西欧・脱構築に走りたい、どちらからも自由な日本のコスプレ文化を面白いと思う。そういう意味では、日本はファッションの先頭を走っているんだけど、誰も気付いてないんですよね。世界のファッションの潮流を考える時、これは非常に興味深いテーマです」
「栗野ワールド」が捉える時代の潮流は、今後のファッションをどう動かすのか。何だか楽しくなってきた。